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増大する都市廃棄物に対して対策を取りたい

カンボジア王国

カンボジアの廃棄物処理に関する開発課題は、ごみ処理に関わるサービスの質が低いこ とである。経済成長に伴い、ごみの排出量も比例的に増大しており、廃棄物処理は重要な 都市問題の一つとなっている。また同国では、リサイクルやごみの削減に効果的な対策が 不十分で、環境及び経済・社会全体に対する懸念事項である。処理場周辺の水・空気など 環境の劣化や、用地の確保、増大するごみの量とその処理費はいずれも行政の課題である。 法令によると固形廃棄物処理は環境省の所管で、その処理は、地方自治体の責任とされて いる。自治体は、廃棄物処理の業務の一部を民間の事業者に委託することも可能である。 プノンペン市を始めとする主要都市では、民間企業に業務を委託する長期契約を結んでい る。しかし、廃棄物処理サービスの質は必ずしも満足できる水準にはない。 カンボジアは廃棄物の削減のためリサイクルを推進するための戦略を打ち出したものの、 一般家庭、事業者などの排出元のリサイクルへの協力を得られていない。また、廃棄物処 理業者も中間処理を適切に行うための投資を進めていない。アルミ缶、PET ボトルや段ボ ールなど一部の有価品は、ウエストピッカーが集めてインフォーマルセクターに売却して いる。その結果、ごみの 1 割程度を占めるプラスチックごみは生ごみから分別されること なく処分場に廃棄されている。また有害廃棄物は、排出者の責任で処理することは定めら れているものの、必ずしも全てが適切に処理されているわけではない。 例えば、薬品や酸 などの工業系の廃液、油脂、建設廃材、複合材など、処理や分別の困難な廃棄物の多くは、 無処理のまま処理場や排出者の施設内等で廃棄されている。感染性医療廃棄物はカンボジ ア赤十字社によって、ほぼ適切に処理されている。 日本の廃棄物処理事業者の多くは中小企業で、回収~運搬~中間処理~廃棄の各段階で 様々なサービスを提供している。彼らは、顧客の廃棄する品目に最も適切な廃棄と処理の 方法を提案する総合的なサービスを提供することができる。それぞれの企業は、取り扱う 主要な廃棄物の品目に専門性を持ちながら、廃棄物処理に関する顧客の多様なニーズに対 応するため、必要な人員、ノウハウ、技術を糾合するマネジメント能力を備えている。 例えば、未利用バイオマス(生物由来資源)の利用では、対象となる有機物の量や特性 によって最適な処理方法を提案すると共に、バイオマス資源の安定的な確保の上、その回 収~分別~処理並びに生産品(堆肥・ガス等)の利用先確保までのサービスを一貫して行 うことができる。廃棄物の適切処理を課題とするカンボジアの地方自治体に対し、総合的 な廃棄物処理サービスを提供できる日本の中小企業のマネジメント能力が貢献できること は多い。本調査で訪問した廃棄物処理を所管する官庁、地方自治体、NGO 等の関係者は、 日本の廃棄物処理事業者のカンボジア進出の可能性について、一様に興味を示した。 地方自治体が行うバイオマスのコンポスト化は、大量の食品残渣が原料のため、ウイン ドロウ方式(高畦切り返し方式)のコンポスト処理が有望な方法である。この方法は好気 性細菌の分解力を利用するもので、切り返しによる混合・曝気が不可欠である。小規模施 設の場合は、人力でも可能であるが、都市規模の大型コンポスト施設を設置する場合、切 り返し処理の効率化や省力化が求められる。また、カンボジアのごみの組成から、プラス チックの分離は不可欠で、回収された廃プラスチックや、建設廃材の処理を行うニーズが ある。いずれも、現在は無処理で廃棄されているプラスチックや木質の建設廃材から、エ ネルギーを回収する技術で、増大するプラスチックごみの処分に悩む自治体に解決策を示 すことができる。これら技術的な提案や調整能力を発揮することのできる日本の廃棄物処 理サービスの提案する日本の技術・製品やその利用ノウハウと経験に対するカンボジア側 のニーズは高い。 我が国には、廃棄物処理サービスを提供できる中小企業が多数存在している。顧客ニー ズに合致したきめ細かい技術提案が可能で、日本での業務に根ざした定時性、均一性、即 時性等、既往のカンボジアの廃棄物処理事業者が抱える問題に対応できる質の高いサービ スを提供することが可能である。ODA を通じてカンボジアの地方自治体と協働することが できれば、日本の廃棄物処理サービスがカンボジアの廃棄物処理の課題に貢献できる可能 性は高い。 地方自治体が行う都市規模のバイオマスのコンポスト化は、大量の食品残渣が原料のた め、人力による切り返しをいずれ機械化する必要がある。我が国の中小企業が持つ製品・ 技術で、コンポストの切り返しの機械化・省力化に寄与する製品は、乗用小型ローダーと 除雪用グレーダーがある。いずれも海外の類似製品と比較すると、小型かつ構造が単純で、 メンテナンス性が高いため、十分な競争力を持つ。 また、プラスチック・リサイクル技術のうちカンボジアで適用可能性を検討すべきもの は、プラスチック油化、RDF・RPF 技術である。いずれも、上記の廃棄物処理サービスが 起点となって導入が検討・提案される。両者はプラントの設置が必要な技術である。日本 ではその技術は大手を含むプラントメーカーが保有するものの、それら技術を導入し設備 を保有・運営するのはいずれも中小企業である。その経営ノウハウを含め、中長期的な競 争力は高い。 いずれの製品・技術もメンテナンス性が高く、類似の海外製品よりも使い勝手が良く、 カンボジアの実情に合致した適正技術である。また、安定的な廃棄物処理をするため、高 い水準のサービスに立脚するもので、日本企業のきめ細かいサービスを提供することがで きる。従って、海外の類似製品・技術やサービスに十分な競争力を持つと考えられる。 カンボジアの廃棄物処理の課題は、提供されるサービスの質に起因するものが多く、そ の場しのぎ的に先進技術を導入するのではなく、カンボジアの実情に合致したサービス提 供の方法を見出す必要がある。我が国の廃棄物処理業はサービス業として国内顧客の多様 なニーズに対応してきた。バイオマスのコンポスト化、プラスチック・リサイクルの推進 でも、カンボジア向けのプラントや製品の供与ではなく、経営を含む廃棄物処理サービス として、検討・提案することが望ましい。 そのためには、まず有望なモデル地域を見極めることが必要である。主要都市のうち観 光に依存するシェムリアップには、都市景観の維持に対する高い関心がある。またアジア 開発銀行の分析によると、同市の都市人口に対する廃棄物処理サービスのカバー率は、他 の同規模の都市と比較すると低く、必要性の高さから、今後の参入余地は比較的高いと考 えられる。シェムリアップ市環境局によると、日系を含む新たな事業者の参入を期待する という意見の表明も得られた。また、既存の廃棄物事業者は日本製機材の調達を検討した いという希望を持っている。 廃棄物処理は公共サービスであり、政府や地方自治体との協働や連携が不可欠である。 海外企業が公共サービスに参入する場合、この業務に通じた地元のビジネスパートナーの 助けなしには、困難が伴うと予想される。とりわけ、行政当局との関係構築、日本の公共 サービスとは異なる商習慣への対応、トラブル発生時の対応等について、カンボジア国内 のビジネスパートナーが持つ同分野での経験、人脈等のリソースを用いて参入をスムーズ にすることができる。我が国の廃棄物処理サービスには、特定の企業グループは形成され ておらず、また全国に立地している。人口減少や製造業の海外シフト、経済のソフト化に 伴って、日本国内の廃棄物ビジネスの市場は縮小の可能性もある。そのため海外展開も一 つの有望なオプションである。
関係機関

シェムリアップ市環境局

想定エリア

シェムリアップ市

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元メーカー兼商社(海外事業部勤務)、現在日系コンサル会社勤務
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