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安定的で効率の良い上水供給と省スペースの下水処理施設を普及させたい

スリランカ民主社会主義共和国

スリランカの上水道普及率は 45%(2015 年)であり、2020 年までに 60%にすることが開発目標と なっている。同国の上下水道事業に重要な役割を担っている NWSDB では、持続的な施設拡充ととも に、既に整備した水道施設について、無収水率の改善や、ポンプ動力の電気代などの維持管理費の削 減により、経営改善を図ることも重要となっている。本調査では、人口増加、工場や商業ビルなどの 建設により、水需要の変化が起こっているが、限られた水供給能力に対して、家庭用を含めてボール バルブがうまく作動できないものが多く、漏水により貴重な水資源が有効に利用できないという問題 があり、事業の経営的な観点からも改善が必要であることもわかった。本調査で取り扱った我が国中 小企業のボールバルブは、耐久性が高く詰まりにくいため、ボールバルブの劣化や詰まりによる漏水 の防止、ひいては無収水の削減に貢献できる。 水需要の変化などへの対応として水道施設の増強や、増強までの対応が適切に実施されておらず、 給水地区内の特定の場所への配水が滞っている例が多く確認された。消費者へのより良いサービス提 供という観点から、これを改善し公平な水供給を行うニーズは高い。持圧弁は、送配水管内の水圧に 合わせて各戸・各地域への給水量を自動的に調整し、高低差のある地域や大型消費者のいる地域の給 水量の標準化を図るものであり、施設整備までの暫定利用だけでなく、公平な水供給を行うとともに、 ポンプ動力費用の削減あるいは無収水対策という観点から本格的な利用にも有効であり、同国のニー ズに応えることができる。 同国の下水道普及率はわずか 2%であり、一般的な下水処理施設は腐敗槽である。腐敗槽は、提案 製品である浄化槽より処理性能が劣り、定期的な巡回や汚泥引抜きなど適切な維持管理も行われてい ないのが実態であり、地下水や河川の水質汚濁の原因となっている。 同国ではこのため、下水道普及 率を 2020 年に 3.3% に上げ、環境改善を図ることを開発課題としている。 同国では、主要都市の他にも、下水処理施設の整備が急がれている場所が大学の寮やバス停留所な ど各地に点在している。汚水が上水の取水地近くに放流されている場合は特に緊急度が高い。本調査 で提案したパッケージ型の浄化槽は、規格化・工場製作による設計不要の製品であり、下水処理技術 に関しての経験の少ない同国では、こうした緊急度の高い場所への導入に最適である。 持続的で効率的な下水処理施設整備のためには、維持管理費用が節約できる処理施設や省スペース の施設の普及も求められている。提案製品である POD(プレハブ型オキシデーションディッチ法)や、 PTF(前ろ過型散水ろ床法)を使った下水処理施設はこの要望に応えるものである。また日本で活用 されている下水汚泥の移動脱水車は、巡回型処理施設であり初期投資も少ないため、同国の汚泥処理 改善のニーズに応えられる。 我が国の水道人口普及率はほぼ 100%、汚水処理人口普及率は約 90%である。施設新設のニーズが 満たされたことから、上下水道事業費は近年継続的に縮小している。しかし環境対策、水質対策、地 震対策などに留意した老朽施設の再構築が課題である。そのため中小企業を含めた上下水道産業界が 今後とも持続的に発展していく必要があり、事業拡大とともに、人材開発・技術開発という目的も合 わせ持って、その蓄積した技術を途上国に展開することが望まれている。 提案製品をスリランカで活用・普及するにあたり、我が国中小企業に求められる主な点は以下のと おりである。ボールタップは、同国で普及しているイギリス製品に対し価格面での競争力を保ち、製品に対する認知度を上げる必要がある。持圧弁はスリランカにおける使用実績はほとんどなく、普及 のためには実際に設置して効果を実証する必要がある。パッケージ型浄化槽は、提案製品のような FRP (繊維強化プラスチック)製のものは現在同国で実用化されていないため、販売と巡回型維持管理に 関して現地パートナーを確保する必要がある。スリランカにおける POD の建設実績はなく、普及の ためには、実際に建設運用して特徴や効果を実証することが望ましい。PTF 技術は、JICA の策定する 下水セクター開発計画等において提案し、その特徴を生かし、我が国独自の技術として普及展開を図 ることが望ましい。 これらの製品は、ODA 重点分野である経済成長の促進のため実施される、上下水道施設整備を目的 とした有償資金協力事業の中で有効活用していくことが可能である。公共事業において提案製品の優 位性や効果が認知されれば、ボールバルブは家庭用、浄化槽は緊急性の高い公共施設や、ホテル・工 場などの民間施設への導入が広く見込まれる。 ■活用が想定される製品・技術・ノウハウ 上水道 ・省スペースで経済的な上水施設普及に資する製品・技術 ・配水管敷設技術の向上、漏水の削減に資する機器類の導入 ・公平な水供給に資する製品・技術 下水道・下水処理 ・緊急度の高い場所への対応 ・デモンストレーションによる啓蒙効果 ・維持管理費が安価で省スペースの処理施設 ・民間施設への高度処理施設の導入(ホテルや工場など)
関係機関

水道省

想定エリア

コロンボ県

マーケティング
元メーカー兼商社(海外事業部勤務)、現在日系コンサル会社勤務
経営者
越境ECコンサルタント
広告代理店
英語 翻訳・通訳

ICT農業技術を活用して紅茶の栽培・生産管理の効率化と付加価値を高めたい

スリランカ民主社会主義共和国

スリランカの GDP における農業部門の構成比は年々減少傾向にある。しかし、現在でも貧困層人 口の 8 割以上は農村部に居住していることから、同国の重要課題である農村部と都市部との地域間所 得の格差の是正には、農業部門の成長が重要である。同国の農業分野には多岐にわたる課題があり、 15 特に、紅茶などの伝統的輸出産業の競争力低下、農作物の低生産性、農産品流通システムの非効率性 が問題となっている。本調査では、これらの課題解決に、日本の中小企業が強みを持つ ICT 製品・技 術が貢献できるという仮説をもとに、「ICT 農業」をテーマとして調査を行った。 日本では、農業就業人口の減少と高齢化を背景に、農業の生産や流通過程の効率化を目指して ICT 技術の開発が進めらている。日本の ICT 農業技術は、センサー機器や衛星データを活用した環境情 報分析や制御による圃場管理、スマートフォンやタブレットを利用した農業クラウドによる農業生産 工程管理、GAP(Good Agriculture Practice)やトレーサビリティ確保への活用、製茶関連機器、流通・ 販売システム強化などの方面で強みを持つため、前述の競争力強化や生産性・効率性の向上といった 同国のニーズに対応が可能である。 紅茶は、スリランカの第 2 位の輸出品目であり、伝統的輸出産業として同国の経済・雇用を支えて いる。しかし紅茶は、近年の人件費や燃料費などの生産コスト上昇により国際競争力が低下傾向にあ り、多くの紅茶プランテーション企業が存続の危機に直面している。このため、広大な茶園管理や茶 栽培の効率化、労働者不足の補完、製茶工程の効率化に資する製品・技術に高いニーズがある。農業 全般に関しては、主要作物であるコメの自給は達成しているものの、農業一般の生産性の向上が頭打 ちとなっている。これは同国の農業の大部分が小規模営農であり、機械化の拡大が困難であること、 政府の普及システムが不十分で農家に気象、新品種、栽培技術等の情報が行き渡っていないことなど が理由である。また、輸出促進のための作物の品質向上も必要とされており、農家への技術普及に向 けた情報ギャップを埋め、生産性向上に資する製品・技術普及のニーズがある。なお、同国の野菜や 果物などの農産品の流通は、多くの中間業者が介在し、サプライチェーンが長く非効率であることか ら、収穫後廃棄率が高く、価格変動も大きい。これは農家の収益率の低下につながっている。そのた め、価格など必要な情報への関係者のアクセスを改善し、流通システムを透明化・効率化できる製品・ 技術へのニーズがある。 上記ニーズに対応する日本の中小企業の技術・製品を活用した ODA 事業の提案は以下のとおりで ある。これらはいずれも、同国政府が実施中の取組みを支援するものであり、ODA 民間連携スキーム を活用することを想定している。なお現時点では、同国の個人農家はこれらの製品に馴染みがなく、 経済的にも ICT 製品をすぐに購入するという状況にはないことから、中小企業はこれらの ODA 事業 を通して公共事業においてその有効性を実証し、その後に個人農家向けの市場に参入することが効果 的戦略である。 ・センサー機器と農業クラウド活用による農業生産性向上事業:農業局傘下の研究機関をカウンタ ーパートとして、センサー技術を使用した病虫害発生リスク管理技術を導入し、栽培管理の最適 化と農家への情報伝達を促進する。 ・衛星データ活用による農業関連情報整備事業:農業省農業局傘下の自然資源管理センターと協力 し、衛星データによる農地利用、土壌侵食状況等の情報を整備・分析し、分析結果の栽培リスク 軽減、収穫予測等への活用を目指す。 ・プランテーション産業の競争力強化事業:エネルギー効率の高い製茶機器、自動的に茶葉収穫か ら給与計算等を行う労務管理システム等の導入による、プランテーション産業の生産工程効率化 を目指す。 ・ICT 導入による農産品流通効率化事業:収穫量や時期、価格、在庫状況などの情報を一元管理す るシステムを農民組織やスーパーマーケットチェーンと協力して導入する。収穫後ロスを低減し、 価格変動に対応した栽培計画、生産安定化を実現し、無駄な中間コストを削減して農家の収益増 16 加を目指す。 ニーズ ■紅茶の栽培・加工 ・紅茶栽培の効率化 ・労働者不足の補完 ・製茶工程の効率化 に資する製品・技術 ■野菜・コメの栽培 ・生産性向上 に資する製品・技術 ■野菜・果物の流通 (労務管理システム) ・情報へのアクセス改善 ・流通シスエムの透明化・効率化に資する製品・技術
関係機関

農業省、農業局、プランテーション産業省、ICT、スリランカ紅茶局

想定エリア

コロンボ県、キャンディ県、ヌワラエリヤ県

経営者
広告代理店
元メーカー兼商社(海外事業部勤務)、現在日系コンサル会社勤務
マーケティング
英語 翻訳・通訳
越境ECコンサルタント